【1月24日 AFP】ドイツ赤十字社(Red Cross)は23日、第2次世界大戦(World War II)中に消息を絶った人々の捜索を2023年で終了すると発表した。行方不明者120万人の安否は今も不明のままだという。

 独赤十字社の行方不明者追跡調査活動を統括するトマス・フーバー(Thomas Huber)氏は、独DPA通信に「これ以降は行方不明者の安否を明らかにすることが不可能になる」ことを明らかにした。またフーバー氏によると、独赤十字社の追跡調査局と独内務省は、行方不明者に何が起きたかを究明するための活動を今から5年後、壊滅的な戦争が終結してから78年後に打ち切ることで合意したという。

 独赤十字社によると、この数十年の間に世間の関心が薄れてきている一方で、1939年から45年まで続いた第2次大戦中に消息を絶った親族に関する情報を探し求める人々からの調査依頼が2016年にもまだ約9000件寄せられたという。

 第2次大戦中の公文書や旧ソ連と旧東ドイツ共産党当局が残した記録文書を徹底的に調査するこうした活動では、これまでに回答が得られたのは全体の40%ほどだ。

「多くの人々にとって、ここ(の期間)はいまだに家系図の空白部分となっている」とフーバー氏。しかし2010年には、独赤十字社の追跡調査により、60年間生き別れだった兄弟2人を再会させることができたとしながら、「このようなケースは非常に感動的だ」と述べた。

 追跡調査活動が始まった大戦直後、赤十字社は2000万人以上の行方不明者を捜索する任務を負っていた。行方不明者の多くは戦死したか捕虜になった兵士だが、戦争の混乱の中で捕らわれの身となった一般市民も多数含まれている。(c)AFP