【1月24日 AFP】英国の元首相、故マーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)氏の銅像をロンドン中心部の国会議事堂前に設置する計画が23日、自治体の決定で却下された。同氏の象徴ともいえるハンドバッグを持った姿でないことを理由に遺族が設置に反対するなど、「サッチャー氏らしからぬ」デザインが理由だという。

 自治体であるウェストミンスター・カウンシル(Westminster Council)の企画委員会が同日午後の会議で全会一致で決定した。計画では、銅像は国会議事堂前の広場「パーラメント・スクエア(Parliament Square)」に設置される予定だった。この広場にはウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)元首相など、著名政治家の銅像が複数設置されている。

 歴史的に有名な人物の像などの設置を目的とする慈善団体「パブリック・メモリアルズ・アピール(Public Memorials Appeal)」は、実物より1.5倍大きい銅像の制作を委託した。

 しかしウェストミンスター・カウンシルの議員らは、貴族院議員が着用するローブをまとったデザインが首相らしくないとして、この銅像の設置を不適切と見なした。

 また報道によると、銅像がハンドバッグを手にしていないという理由から、サッチャー氏の娘キャロル(Carol Thatcher)さんも設置に反対していたという。サッチャー氏は多くのハンドバッグを所有していたことで有名で、ハンドバッグは同氏の信念の強さの象徴ともなった。

 ウェストミンスター・カウンシル企画委員会委員長のリチャード・ベドー(Richard Beddoe)議員は声明で、「英国史上初の女性首相としてサッチャー氏は非常に重要な人物であり、カウンシルはパーラメント・スクエアに同氏の銅像を設置すること自体には賛成だが、適切なデザインと遺族の支持が必要だ」との見解を明らかにした。

「鉄の女(Iron Lady)」の異名で知られたサッチャー氏の銅像が30万ポンド(約4600万円)かけて設置する計画が昨年持ち上がった際には、銅像が破壊されてしまうのではとの懸念も浮上したが、現職のテリーザ・メイ(Theresa May)首相は「破壊の恐れを示唆するものはない」として、計画を進めるよう求めていた。(c)AFP