【1月24日 AFP】中国では長年、世界中から資源ごみを輸入していた。しかし、今年から廃棄物の輸入が一部停禁止されたことで、世界各国は早急に大量のごみの新たな廃棄先を見つける必要に迫られている。

 中国の廃棄物輸入禁止策は昨年7月に発表され、年明けから施行された。欧米などの企業はわずか6か月の間に他の選択肢を探すことを強いられ、中には駐車場に廃棄物を保管する企業まで出ている。

 今回の法律で禁止されたのは24種類の固形廃棄物で、一部のプラスチックや紙類、布類も含まれている。中国の環境省は世界貿易機関(WTO)への通告の中で、「原材料として使用可能な固形廃棄物の中に大量の汚れた…あるいは危険でさえあるごみが混じっている。これが中国の環境を深刻に汚染している」と説明した。

 中国政府の最新統計によると、2015年だけでも中国は4960万トンのごみを買い入れている。例えば欧州連合(EU)は収集・分類したプラスチックごみの半分を輸出しているが、その85%は中国へ向かう。またアイルランドは2016年、プラスチックごみの95%を中国へと送った。同年、米国が中国へ輸出した廃棄物は52億ドル(約5700億円)相当の1600万トン超に上った。

 中国に依存している国々にとって今回の廃棄物の輸入禁止は「激震」だと、国際再生資源連盟(Bureau of International Recycling)のアルノー・ブルネ(Arnaud Brunet)会長は言う。「中国は世界最大の市場であるだけに、われわれの産業全体に影響が及ぶ」

 ブルネ氏の推算によると、世界から中国へのプラスチックごみの輸出は2016年の740万トンから、今年は150万トンにまで激減しそうだ。また、紙ごみの輸出も4分の1程度まで激減する見通し。

 原因の一つは、中国が受け入れ可能とするごみ1トン当たりの混入物の制限値を下げたことにある。より厳しい基準を多くの国は満たすことができていないのだ。こうしたことからインドやパキスタン、東南アジア諸国といった新興市場に注目する国もあるが、中国へ廃棄物を輸出するよりも高くつくだろう。

 行き場を失った再生ごみが焼却されたり、他の廃棄物と一緒に埋め立て地などに投棄されたりすれば、それは環境的な「大惨事」へとつながるリスクになりかねない。