【2月17日 AFP】頭に王冠をかぶったマルシオ・マトリアス(Marcio Matolias)さんは慎重に砂の城を修復する。1月のうんざりするような暑さから逃れて海で泳ぐ人々を横目に、シャベルで城の表面を掘っては平らにならす。

 ブラジル、リオデジャネイロのバーハ・ダ・チジュカ(Barra da Tijuca)地区にあるビーチに建てた自作の砂の城で、マトリアスさんは約22年間暮らしてきた。彼は友人や近所の人たちの間で「王様」と呼ばれている。

 44歳のマトリアスさんはこの城以外で暮らしたことがない。「ビーチの前に住むために、みんな途方もないお金を払っている。僕にはそんなお金なんてないけれど、かなり楽しく暮らせている」。海に浮かぶ島々が夕日で輝く中、白い砂をせっせと集めながらマトリアスさんは語った。

 砂の城は見た目は美しいが、常にメンテナンスが必要だ。それに室内は縦横約3メートルと狭い。独身で子どももいないマトリアスさんは、本の山と何本かのゴルフクラブに囲まれ住んでいる。ベッドはなく、寝袋で地べたに寝転がる。手洗いとシャワーは城から30メートル先にある消防署のものを1回1ドル弱(約100円)を払って使う。

 マトリアスさんは「必要なものはもう全て持っている」と話す。ただ一つ困っていることは、夏の耐えがたい暑さだ。「砂が熱を持つんだ。だから時々城の中で眠れなくなって、友達の家に泊めてもらうこともある。でも本当は、外の浜に寝ることになっても、ここにいる方が好きだけどね」 (c)AFP/Florence Goisnard