【1月24日 AFP】シリアに居住するクルド人は、政府軍と反政府武装勢力との紛争に巻き込まれることをほぼ回避しながら、同国北部から北東部にかけて自治区を確立してきた。

■何十年にも及ぶ排斥の歴史

 シリア北部に集中して居住しているクルド人は、同国人口のおよそ15%を占める。非イスラム教徒の少数民族も多少いるが、大半はスンニ派(Sunni)イスラム教徒で、クルド人は自らを世俗主義と見なしている。

 物議を醸した1962年の人口調査によって、クルド人はシリア国籍を剥奪され、以来、何十年にもわたってシリアの支配政党バース(Baath)党に抑圧、排斥されてきた。

■内戦に中立的な立場から自治へ

 シリアで内戦が勃発した2011年、クルド人はおおむね中立の立場を取ろうとした。

 バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領は内戦当初からクルド人に対して融和政策を取り、クルド人が待ち望んできた市民権を50年ぶりに30万人に与えた。

 2012年にクルド人が多数居住しているシリア北部および東部の地域から政府軍が撤退したことは、クルド人が同地の統治を強化する下地となった。以降、クルド人は多くの地域で自治を確立。武装勢力の侵入や政府の介入を遠ざける道を探ってきた。

■「連邦制」を宣言

 シリアの「クルド人民防衛部隊(YPG)」の政治組織「民主統一党(PYD)」は2013年、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が制圧していた地域の奪還作戦で重要な勝利を収めた後、自治政府を樹立する意向を発表した。

 2016年にクルド自治政府は、半自治区から成る「連邦制」の創設を宣言。同年の終わりには連邦制の憲法に相当する「社会契約」を設立し、2017年には村落などの代表者を選出するための「自治体」選挙を実施した。