【1月21日 AFP】シリア北部ハサカ(Hasakeh)近郊で20日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の掃討作戦を展開する有志連合による新国境警備部隊の訓練を終えたシリア人隊員約500人が修了式に臨んだ。

 米軍主導の有志連合軍は14日、ISからの奪還地域を巡回警備する3万人規模の新たな警備部隊を創設すると明らかにしていた。隊員の約半数はクルド人とアラブ人の合同部隊「シリア民主軍(SDF)」出身者が占める見込みだ。SDFは対イスラム過激派作戦で活躍し、同作戦において米国の傑出した同盟軍となっている。

 修了式で戦闘服に身を包んだ訓練修了生たちは「あらゆる攻撃と脅威から国境を守る」と宣誓した。 

 訓練を指揮したカニ・アフマド(Kani Ahmad)氏によると、20日の修了式に臨んだのは2期生で、1期生の修了式は19日に行われた。訓練の期間は20日間で修了生たちはこの後、専門的な軍事訓練を受けることになる。

 新たな警備部隊の任務は「トルコとその傭兵部隊による脅威から国境を守る」ことで、配備地域はシリア北東部から北部のクルド人支配地域、北西部イドリブ(Idlib)一帯になるという。

 21歳になる訓練修了生の1人はAFPの取材に「軽量兵器と重火器の扱い、地雷や爆弾の使い方、応急処置などを学んだ」とクルド語で答えた。

■トルコなどは強く反発

 米国防総省は計画の発表時から、新たな部隊は軍隊でも従来の国境警備隊でもなく、第1目的はシリアにおけるISの復活阻止だと繰り返し主張してきたが、部隊創設は各方面で物議を醸している。

 隊員の約半数を占めるSDFはクルド人民兵組織「クルド人民防衛部隊(YPG)」を主体とする組織だが、YPGを「テロ組織」とみなすトルコは新部隊の創設に強く反発。20日にはYPGを排除する目的でシリア北部への空爆を開始した。

 さらにシリアのアサド政権、反体制派の主流派、イランも国境警備部隊の創設を非難している。(c)AFP