【1月20日 AFP】ジャーナリストらでつくる在英の監視団体「エアウォーズ(Airwars)」は19日、米主導の有志連合がイラクとシリアで行っているイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」掃討作戦による2017年の民間人死者が2016年の約3倍に上ったとする調査結果を公表した。激しい市街戦が一因とみられるという。

 公的なデータを収集・編さんしているエアウォーズによると、イラクとシリアにおける2017年の民間人死者は3923~6102人で、2016年の推定1243 ~1904人から急増している。

 有志連合は2017年、イラク第2の都市モスル(Mosul)の奪還作戦でイラク軍を支援したほか、シリア北部ラッカ(Raqa)の奪還作戦ではクルド人主体の部隊を支援した。エアウォーズは民間人死者急増の一因として激しい市街戦が行われたことを挙げている。また、2017年1月に発足したドナルド・トランプ(Donald Trump)政権が民間人保護措置の一部を縮小した影響もあったかもしれないとしている。

 エアウォーズによると、有志連合が2017年に実施した砲撃と空爆は前年比約50%増の1万1573回前後で、その70%以上がシリアで行われた。

 エアウォーズはロシア軍のシリアでの活動による死者も調べているが、2017年の民間人死者はロシア軍によるものよりも有志連合によるものの方が「はるかに」多かったという。(c)AFP