【1月19日 AFP】フィギュアスケート欧州選手権(ISU European Figure Skating Championships 2018)は18日、ロシア・モスクワで女子シングル・ショートプログラム(SP)が行われ、15歳のアリーナ・ザギトワ(Alina Zagitova、ロシア)が自己ベストの80.27点でトップに立ち、通算2度の大会制覇を誇る18歳のエフゲニア・メドベデワ(Evgenia Medvedeva、ロシア)が78.57点で2位につけた。

 この日の演技では、先に滑走したモスクワ出身のメドベデワがダブルアクセルでつまずきながらも、フレデリック・ショパン(Frederic Chopin)の『ノクターン第20番(Nocturne in E flat major)』に乗せたほぼ完璧な演技でトップに立った。しかし、シニア1年目にして旋風を巻き起こしているザギトワも、映画『ブラック・スワン(Black Swan)』の音楽に乗せ、キャリア初めての欧州選手権で3回転ルッツと3回転ループのコンビネーションジャンプをはじめ、非の打ちどころがないパフォーマンスを披露した。

 花束の雨が降り注ぐ中、電光掲示板に自己ベストの得点が表示されると満面の笑みをみせたザギトワは、「まだ自分には伸びしろがあると思います!」と話しており、同じコーチに師事するメドベデワは重圧をかけれらた状況となっている。

 ロシアの2選手が最高に近い演技を迫られたのは、イタリアのカロリーナ・コストナー(Carolina Kostner)が、復帰シーズンに自己ベストの78.30点をたたき出したからだった。しかし、欧州選手権で通算6度目のタイトル獲得を目指すベテランの30歳は3位にとどまり、20日のフリースケーティング(FS)ではロシア勢を追い詰めるという大仕事が待ち受けている。

 来月開催される2018年平昌冬季五輪で、金メダルの本命に挙げられているメドベデワとザギトワの両選手は、母国が組織的なドーピング問題で出場停止処分を科されている中、「ロシア出身の五輪選手」という名の下に個人資格での出場が認められる見通しとなっている。

 右脚の骨折による2か月の休養から復帰し、「けがの影響は感じませんでした。すべて回復しています。ギプスをしていたのは3週間ほどでした」と話したと伝えられたメドベデワは、「ほかの選手と同様に、先のことはあまり分かりませんが、五輪で母国を代表する機会が与えられていることには心から喜んでいます」と語った。

 ペアのFSでは、ロシアのエフゲニア・タラソワ(Evgenia Tarasova)/ウラジーミル・モロゾフ(Vladimir Morozov)組が大会連覇を達成。クセニヤ・ストルボワ(Ksenia Stolbova)/ヒョードル・クリモフ(Fedor Klimov)組が銀メダル、ナタリア・ザビアコ(Natalia Zabiiako)/アレクサンドル・エンベルト(Alexander Enbert)組が銅メダルに輝き、ロシア勢が表彰台を独占した。

 公私ともにカップルのタラソワ/モロゾフ組は、17日のSPでタラソワにミスが出て5位と出遅れてしまい、大会連覇のみならず表彰台への期待も薄れていた。しかし、クリスティーナ・アギレラ(Christina Aguilera)の楽曲『キャンディマン(Candyman)』に乗せて完璧な演技を披露し、自己ベストの151.23点をたたき出すと、SPとの合計で221.60点を記録。残り6組の演技をリンクサイドで心配そうに見守っていた同ペアは、ライバルが次々と脱落していく中で見事な逆転優勝を飾った。(c)AFP/Nick REEVES