【1月17日 AFP】欧州連合(EU)は16日、欧州で使用されるプラスチック製の包装材を2030年までにすべて再生利用可能なものとする環境汚染対策計画を発表した。さらに、コーヒーカップなどの使い捨てプラスチック製品の使用を段階的に廃止する計画も明らかにした。

 EUの行政執行機関である欧州委員会(EC)から発表された計画は、中国が海外のリサイクル用廃棄物の輸入を禁止する決定を下したことを受けてのものだ。欧州からの膨大な量の輸入廃棄物もこの規制の対象に含まれる。

 EUは現在、収集・分別したプラスチックの半分を輸出しており、このうち85%が中国に送られている。

 ECのフランス・ティメルマンス(Frans Timmermans)第1副委員長は「プラスチックがわれわれの水や食物や体の中にまで入り込むことを阻止しなければならない。唯一の長期的な解決策は、より多くのプラスチック廃棄物をリサイクル・再利用して廃棄物の量を減らすことだ」と指摘。「中国の決定が大きな難局となることは疑う余地がないが、このピンチをチャンスに変えよう」と続けた。

 ECが発表した計画の目的は、世界の海洋で毎日大量のプラスチックごみが沿岸に漂着する状況からの脱却を図るとともに、化粧品や合成洗剤に含まれる「プラスチック微粒子(マイクロプラスチック)の使用を制限するための措置を講じる」ことだ。

 ECは、使い捨て買い物袋など、プラスチック製品の削減に向けた対策をすでに数多く講じている。

 年間800万トンに及ぶプラスチック廃棄物による世界の海洋汚染を食い止めるための抜本的な行動について話し合う会議が昨年、EUの支援の下で開催された。この会議では、英国のチャールズ皇太子(Prince Charles)他数人が発起人となっている。

 ECによると、欧州では年間2500万トンのプラスチック廃棄物が発生するが、リサイクルのために収集されるのは全体の30%足らずだという。

 プラスチック廃棄物に対する認識を高める必要性を訴えるティメルマンス第1副委員長は、プラスチック製ストロー1本の生産には1秒しかかからないが、そのストローが分解されるのには500年かかることを親から子どもに説明してほしいと呼びかけた。(c)AFP