【1月17日 AFP】ロシアの国家ぐるみのドーピングを告発したグレゴリー・ロドチェンコフ(Grigory Rodchenkov)氏の弁護士が16日、国際オリンピック委員会(IOC)が2月の平昌冬季五輪を最後にロシアへの制裁を解除する気でいるとの見解を示し、同委員会を批判した。

 ロドチェンコフ氏の弁護士を務めるジム・ウォールデン(Jim Walden)氏は、昨年12月にロシアの平昌出場禁止が発表された当初、「強いメッセージ」になるとしてIOCの決断を評価していたが、その後「ロシア出身の五輪選手」の名目でケースバイケースで出場が認められることになると、IOCの決意に対する疑念が膨らんでいった。

 ウォールデン弁護士は、IOCのトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長がすでにロシアと五輪参加を認める密約を交わしていると確信しており、発表後にロシア政府が「猛反発」し、ロドチェンコフ氏が脅迫を受け、ロシアのハッカーの仕業とみられるIOCと世界反ドーピング機関(WADA)のメール流出があったことを指摘した。

「IOCの判断の直後には満足だと言いましたが、それも細かい部分を確認し、ロシア側の反応を見るまでの間でした。ショックです。判断以後のロシアのさまざまな行動を考えれば、バッハ会長が彼らを五輪に戻そうとしているのは明らかだ。これほど制裁の継続にふさわしい状況もない中で、バッハは閉会式で彼らを戻そうとしているのです。ファンとクリーンな選手、スポンサー企業はみな激怒するでしょう」

 ウォールデン弁護士はまた、国際サッカー連盟(FIFA)に対しても厳しい言葉をぶつけ、2018年のロシアW杯(2018 World Cup)開催が近づく中で、ロシアサッカーのドーピング疑惑への対応が遅いと話している。

「FIFAは外部の調査担当者を雇い入れて事実関係を追うことを検討しており、プロセスが進行中と理解していますが、多くの部分で進捗(しんちょく)は遅れています。ドーピングに関する発見があり、FIFAが大きな成果を挙げられるとは想像しづらいのが現状です」

 ウォールデン弁護士は、米国で身を隠しながら生活するロドチェンコフ氏の近況についても話し、スイスのスポーツ仲裁裁判所(CAS)で近日行われる2回の審問で、電話か映像を使って証言する予定だと明かした。ロドチェンコフ氏は現在も命の危険を感じており、ロシアに残る家族と「きちんと接触することは非常に難しいか、ほぼ不可能」だという。(c)AFP