【1月16日 東方新報】今年1月1日から「史上最も厳しい」と言われる粉ミルクの成分配合登録制が本格的に実施されている。これまで、国内外132社の989種類の成分配合が登録されている。申請中の企業に対しても、2018年上半期には結果が通知されるとみられる。登録制の実施により、粉ミルク市場にはさらに700億元(約1兆2070億円)の市場空間が広がるが、そのほとんどが大企業の有名ブランドに集中し、現在市場に出ているブランドの半数は消滅すると予想される。

 成分配合登録制により、粉ミルクは国産・外国産に関係なく中国国内で消費される商品は登録を取得しなければならず、商品に登録番号を明記しなければならないと定められている。

 登録制の導入は、成分配合の氾濫が原因だった。しかし、成分配合が登録されたからといって食品の安全が保証されたことにはならない。実際に、成分配合登録後に、中国国家食品薬品監督管理総局から生産管理上の問題を指摘された企業もある。

 同局は、粉ミルクのラベルに記載されている内容についても検査を実施。「原料はすべて輸入」「無添加」といった虚偽の表示や、「免疫力増加」「腸を守る」といった誇張表現など、1年間で253件の問題が見つかった。

 米調査会社ニールセン(Nielsen)のデータによると、2016年の中国国内における輸入ブランド商品のシェアは、高級市場で61.1%、超高級市場では87.9%だった。しかし近年、国内企業も有機農法や、羊の乳を原料にするなど工夫を凝らして高級市場に挑んでいる。また、海外の生産工場に投資するなど、「輸入品」の輪郭があいまいになってきていることも事実だ。

 輸入品に関しては、成分配合を登録する以前に、粉ミルクを生産する企業は中国国家質量監督検験検疫総局に登録しなければならないとしている。だが実際は、インターネットなどを利用して個人で購入する粉ミルクなどは適用の対象になっていない。

 乳業専門家の宋亮(Song Liang)氏は、「登録制によって国内のブランドが大幅に減少しているが、個人輸入を取り締まらない限り、国内ブランドが海外で生産し中国市場に戻るという図式になりかねない。個人輸入による市場競争が激化し、今後3年で国内の中小企業は壊滅状態になるかもしれない」と懸念している。(c)東方新報/AFPBB News