【1月16日 AFP】米大統領就任直前、自由貿易協定やオートメーションを背景に米国内での雇用削減を進める自動車業界に対して厳しい姿勢を示したドナルド・トランプ(Donald Trump)氏──。あれから約1年が経過するが、「形勢を逆転させる」としていた同氏の誓約は実際に果たされたのだろうか。

 ミシガン州デトロイトで北米国際自動車ショー(North American International Auto Show)が開幕する直前の10日、トランプ米大統領に良い知らせが届いた。欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(Fiat Chrysler AutomobilesFCA)が同社トラック「ラム1500(Ram 1500)」の生産拠点をミシガン州に移転し、2500人の雇用を創出すると発表したのだ。

 この発表を受け、トランプ大統領はツイッターに「ありがとうクライスラー。とても賢明な決定だ」「ミシガン州の有権者はトランプ/ペンス(Mike Pence)に投票したことをとてもうれしく思うだろう。さらに続くぞ!」と投稿した。

 だが、フィアット・クライスラーのこの先週の発表にもかかわらず、雇用統計では、大統領就任後1年間における米自動車産業の雇用の全体像が決して満足できるものではないことが示されている。米労働統計局(Bureau of Labor StatisticsBLS)のデータによると、自動車部門(製造及び供給業者)での昨年11月末の雇用者数は78万3200人で、2016年末の78万8900人から減少しているのだ。

 このデータについて、米調査会社センター・フォー・ オートモーティブ・リサーチ(Center for Automotive Research)の専門家、クリスティン・ジチェク(Kristin Dziczek)氏は「全体として自動車部門での雇用は昨年よりやや減っており、販売・生産ともに低下している。雇用者数は生産活動と密接に結びついている」とコメントしている。