【1月16日 AFP】フランスサッカー連盟(FFF)は15日、試合で選手に対して蹴りを入れ、退場処分を言い渡したトニー・シャプロン(Tony Chapron)主審について、追って処分が下されるまで「当面の間」職務停止にすると発表した。FFFはまた、ナント(Nantes)のCBディエゴ・カルロス(Diego Carlos)に出された警告を取り消し、次戦に出場可能であることも明らかにしている。

 ナントがパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)と対戦した14日の試合終盤、シャプロン主審はカルロスと接触して転倒し、同選手を蹴るという行為に及ぶと、さらには同選手にこの日2枚目のイエローカードを提示し、退場処分とした。シャプロン主審は15日、カルロスに追突されたとはいえ、自身の反応は「ぎこちない」もので「不適切」だったと謝罪した。

 FFFは審判を養成する同国プロサッカーリーグ連盟(LFP)の技術委員会が、シャプロン主審に対して「追って通知するまで担当から外す」と決定したことを公表。同主審は今後、リーグの懲罰委員会に出廷して弁明を行うことになり、17日に予定されていたアンジェSCO(Angers SCO)対トロワ(Troyes AC)の審判からも外された。

 FFFの声明ではまた、45歳のシャプロン主審がビデオ映像で問題の場面を確認し、「自身の転倒はアクシデントによるものだったと認めた」ことが明らかにされた。最近は中国でも笛を吹いていたシャプロン主審は、声明で「ナントのディエゴ・カルロス選手が私に追突してきた。衝突した際、私は最近けがをした箇所に鋭い痛みを感じた。そしてカルロス選手に足を突き出すという嘆かわしい行為におよんでしまった」と説明している。

■世界中に拡散

 世界中に拡散された問題の試合の映像では、ドリブルしていたPSGのキリアン・エムバペ(Kylian Mbappe)をシャプロン主審とカルロスが追いかけて並走していたところ、主審が選手の走路をふさいだ形で両者が接触し、主審が転倒したことが確認された。主審は起き上がりながらカルロスに足払いを見舞うと、その場を歩き去ってから振り向きざまに同選手へこの日2枚目のイエローカードを提示し、PSGにフリーキックを与えた。

 ナントは15日、LFPに対して今回の問題に関する緊急会議を開き、カルロスへの2枚目のイエローカードを取り下げて17日のトゥールーズ(Toulouse FC)戦に出場できるようにすることを要求。LFPは「カルロスが意図的に倒したのではないという事実を認めるシャプロン主審の報告書を読み、当連盟の委員会は2枚目のイエローカードを撤回することを決定した」とコメントした。

 レッドカードが示された際には、信じられない様子で笑っていたナントのヴァルダマー・キタ(Waldemar Kita)会長は、地元テレビ局に対して、シャプロン主審が「蹴る意思はなく、背後から押されたように感じた」と言っていたと明かし、「まるでジョークだ。各方面からメールがたくさん来ている。あの審判はジョークだとね」とコメントした。

 よく見える位置から問題の場面を目撃していたナントのヴァロンタン・ロンジェ(Valentin Rongier)は、主審に長期の謹慎処分を科すべきだと主張し、仏テレビ局カナル・プリュス(Canal Plus)に対して、「本人は滑ったと言っていたが、彼が蹴ったことはわかっている。主審がとても大変なことは理解している。だけど定期的に審判にも疑問の目を向けるべきだ。選手がああいうことをすれば10試合の出場停止処分が科される」と語った。

 シャプロン主審は2004年からフランスのトップリーグで審判を務め、2014年のフランスリーグ杯(French League Cup)決勝を含めて計400試合以上の経験がある。今季初めの昨年10月には、中国スーパーリーグ(1部)に審判として招かれ、上海申花(Shanghai Shenhua)対天津泰達(Tianjin Teda)の試合を担当。最近ではフランスの地元テレビ局に対して、今季限りで引退すると話していた。(c)AFP/Andy SCOTT