【1月15日 AFP】カタールの衛星テレビ局「アルジャジーラ(Al-Jazeera)」などによると、同国の王族の一人が訪問先のアラブ首長国連邦(UAE)で拘束されていると訴えている。UAE当局はその事実を即座に否定したが、カタールとサウジアラビアなど湾岸諸国の外交紛争の解決でキーマンとされる人物だけに臆測を呼んでいる。

 拘束されていると訴えているのはアブドラ・ビン・アリ・サーニ(Abdullah bin Ali Al-Thani)氏。インターネット上で拡散している動画で、UAEアブダビ首長国のモハメド・ビン・ザイド・ナハヤン(Mohammed bin Zayed al-Nahyan)皇太子の招きで同地にいるとした上で「今、拘束されている」と話している。

 サーニ氏はあまり知られていない人物だが、昨年6月にサウジアラビアやUAEがカタールと断交した後、同国国民がイスラム教の聖地メッカ(Mecca)への大巡礼(ハッジ)を行えるようにするためサウジでムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子と会うなど、仲介役を担ってきた。

 また、カタール指導部に対抗する可能性のある人物との見方もある。

 サーニ氏は動画の中で「私の身の上に何かが起こり、カタールのせいにされることを恐れている」と危機感をあらわにしている。さらに「カタール国民は無実だということを明確にしておきたい」「私に何かあればその責任はすべてモハメド皇太子にある」とも語っている。

 一方、UAE当局は、サーニ氏が自身の意に反して拘束されている事実はないと同氏の主張を否定。UAEの国営首長国通信(WAM)は、サーニ氏が「自らの意思」でUAEにとどまっていると報じている。

 UAEの過激派対策センターのトップを務めるアリ・ラシェド・ヌアイミ(Ali Rashed al-Nuaimi)氏はツイッター(Twitter)に、サーニ氏が「自らの安全のため」にUAE滞在を求めたと投稿している。(c)AFP