【1月15日 AFP】スペインのメディアが、「崩壊」したレアル・マドリード(Real Madrid)に容赦ない批判の矛先を向け始めている。本拠地でビジャレアル(Villarreal CF)に0-1で敗れたことを受けて、メディアはチームの「危機」と伝えた。

 就任からの2年間で数多くのトロフィーを獲得してきたジネディーヌ・ジダン(Zinedine Zidane)監督だが、2020年まで契約を更新したことがわかってからわずか数日でチームの修正能力に大きな疑問符が付いている。直近のレアルはリーグ戦3試合で勝ち点を1しか獲得できず、公式戦5試合でわずか1勝。リーグでは14日に勝利した首位FCバルセロナ(FC Barcelona)と勝ち点19差の4位にとどまっている。

「不可解」と1面の見出しを打ったのは、マドリード系のスポーツ日刊紙マルカ(Marca)。同紙は昨季国内と欧州を制した王者が、今季のリーグでは「何が起きているのかわからない」状態に陥っているとした。スポーツ日刊紙アス(AS)は「ゴールなし、運なし、理由なし」と書き、コラムでは「すべてが悪い方へ転んでいる。この敗戦でチームの雰囲気はさらに落ち込み、ジダンを含む全員がそれに呑み込まれている」と書いた。

 仮にチームがビジャレアル戦の前の段階でリーグ連覇をほぼ諦めていたとしても、この敗戦で今度は来季のチャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2018-19)に出場できる4位以内の確保にも不安が生じている。今節勝利した3位バレンシア(Valencia CF)との勝ち点差が8に広がった一方、5位ビジャレアルとはわずかに同1差。レアルが3位以内を逃すことになれば、2004年以来の事態となる。

 バルセロナでは、カタルーニャのメディアがここぞとばかりにレアルにナイフを突き立てている。ムンド・デポルティーボ(Mundo Deportivo)は「危機」という見出しの上に、頭を抱えてピッチに突っ伏すクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)の写真を掲載した。

 スポルト(Sport)はロナウドのゴール欠乏症に注目。13日のレアルは、ロナウドがいくつもの決定機を逃すと、終了間際にパブロ・フォルナルス(Pablo Fornals)に決勝点を許し、ビジャレアルにサンチャゴ・ベルナベウ(Santiago Bernabeu Stadium)初勝利を献上した。

 かつて対戦相手を恐れさせたレアルの3トップ「BBC」だが、ロナウドは今季リーグ戦でわずか4得点、ギャレス・ベイル(Gareth Bale)はコンディションが戻り切らず、カリム・ベンゼマ(Karim Benzem)は負傷離脱中と、以前のオーラはもはや感じられない。

 スポルトの編集者は「レアルの崩壊は、基本的にはロナウドの崩壊であり、広く言えばBBC全体の崩壊だ。3トップはもう何か月も前に人知れず死んでいたんだ」と分析。ASも「レアルは最初、ロナウド不在が原因で転落し、次にロナウド復帰が原因でゴールから遠ざかり、そして最後に首位との勝ち点差が原因で魔法が解けたことを理解した」と話している。スポルトはジダン監督についても「優雅な指揮官だが、黒板に書ける答えは持っていない」と評価した。

 仮に欧州連覇中のレアルがチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦でパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)に敗れるようなことがあれば、ジダン監督が指揮官の座にとどまれなくなる可能性もある。1回戦の第1戦は、2月14日にベルナベウで行われる。

 フランスのスポーツ日刊紙レキップ(L'Equipe)のマドリード特派員は、ジダン監督について「また負けたにもかかわらず、チームに手を加える準備ができていないようにみえる。そのことが無力な印象を生んでいる」と話している。(c)AFP