【1月14日 時事通信社】焼き打ちに遭い炎上する村、木につるされた遺体の数々-。バングラデシュへ大量脱出したミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャの難民の子供たちに、国連児童基金(ユニセフ)は絵を描いてもらうことで、心の傷を知ろうとしている。浮かび上がるのは幼い子供が目にした言葉にできない悲惨な光景だ。

 来日したユニセフ・バングラデシュ事務所のエドゥアルド・ベイグベデル代表(50)が東京都内で時事通信のインタビューに応じ現場の状況を語った。迫害を受けたロヒンギャ難民の子供は心のケアのためにも「感情表現をすることが重要だ」と代表は力説した。

 昨年8月25日にミャンマー西部ラカイン州で治安部隊とロヒンギャ武装勢力による衝突が起きてからは、ユニセフ・バングラデシュ事務所の職員を大幅に増員して難民に対応している。バングラデシュ南東部コックスバザールのロヒンギャ難民キャンプでは、衛生環境の改善や教育支援に追われてきた。

 その中で代表は「子供たちにとって必要なのは体のケア、教育に加え、心理的な問題に取り組むことだ」と訴えた。他人に気持ちを閉ざしがちな子供たちの心の傷を知るため、絵を描いてもらうことが有効な手段となる。すると、言葉では表し切れない幼い子供からも、重い体験が伝わってくる。代表は「まず自分の感情表現をすることが第一歩だ」と絵を描く意義を強調した。

 キャンプは今、大量の難民でごった返し、環境は劣悪だ。仮設テントのそばを汚水が流れ、ジフテリアなど感染症がまん延する。代表は「キャンプはあくまでも一時的な措置」と念を押した。

 ミャンマーとバングラデシュ両政府は昨年11月、ロヒンギャ難民の早期帰還で合意している。しかし、ラカイン州では今も治安部隊による襲撃が続いているとされる。帰還するのに「簡単な状況ではなく、時間がかかるだろう。政治的な解決策が必要だ」と両国政府による粘り強い協議が続くことに望みをつないでいる。(c)時事通信社