【1月14日 AFP】ベルギー・オランダを拠点とする自然保護団体Landschapは13日、ベルギー北部フランデレン(Flanders)地域で今月初めに野生のオオカミが目撃されたと明らかにした。ベルギーで野生のオオカミの生存が確認されるのは1世紀以上ぶり。

 欧州のオオカミは乱獲に加え産業化や都市化による環境変化などが原因で20世紀初めには西欧の大半地域から消えてしまった。人間の敵だったオオカミはその後、1979年に「ヨーロッパ野生生物及び自然生息地の保護に関する条約(ベルン条約、Bern Convention)」によって「欧州の自然遺産における基本要素」として保護対象種に指定されている。

 Landschapによると、オオカミが再び欧州大陸に定住するようになってからもベルギーだけオオカミが目撃されていなかった。

 フランデレン地域で1月初めに見つかったオオカミは首に位置追跡電子装置が装着されていたため、隣国ドイツからベルギーにやってきたことが判明した。このオオカミは昨年のクリスマス頃にオランダで目撃されたオオカミと同じ個体だという。ここ数日間はフランデレン地域のベリンゲン(Beringen)やレオポルドスブルク(Leopoldsburg)の軍事基地などで目撃されており、10日間に約500キロ圏内を移動していたとみられる。

 生物の多様性を掲げる様々な自然保護団体はベルギーでオオカミが発見されたとのニュースを歓迎し、家畜をオオカミに襲われた農家への損害補償を含めた恒久的なオオカミの帰還政策を政府に求めている。(c)AFP