【1月13日 AFP】イランは12日、中国沖で貨物船と衝突し、炎上している石油タンカーで新たに爆発が発生し、救助活動が難航していると発表した。日本は漂流した同船が日本の排他的経済水域(EEZ)内に入ったと発表した。

 軽質原油13万6000トンを積んだイラン企業所有でパナマ船籍のタンカー「サンチ(Sanchi)」(全長274メートル)は6日、中国・上海の東160カイリの沖合で香港船籍のばら積み貨物船「CFクリスタル(CF Crystal)」と衝突し、炎上した。

 ほぼ全員がイラン人から成るサンチの乗組員の1人の遺体が発見されたほか、31人が行方不明となっている。イラン当局は不明者が船内の安全な区画に逃れ、無事でいることを祈っている。

 イラン都市開発・道路交通省の湾海海洋局(PMO)のハディ・ハグシェナス(Hadi Haghshenas)副局長は、12人から成る同国の精鋭救助隊が上海に到着しており、サンチに乗船できる条件が整うのを待っている状況だと述べた。

 ハグシェナス氏は「このタンカーは上海の港から約155マイル(250キロ)離れた事故現場から日本の海域に向かって流されており、現在は沖縄本島から約135マイル(217キロ)の位置にある」と述べた。

 日本はタンカーが日本のEEZ内に入ったことを受けて海上保安庁の巡視船を派遣したと発表した。海上保安庁の報道官によるとイランから日本に消火活動支援のためヘリコプターと固定翼機の派遣要請があり、日本が中国に支援を申し出たところ、中国側からこの事故は自国で対処すると返答があったという。

 この事故でイラン当局は中国の救助活動を批判してきた。中国の交通運輸省は11日、悪天候と原油の炎上による有毒ガスによって救助活動が難航していると発表した。

 ハグシェナス氏は、イランが雇ったオランダとドイツの火災対応の専門家2人が、現場で中国人救助隊員に助言していると述べた。(c)AFP