【1月13日 AFP】台湾当局は12日、北朝鮮に石油を売った疑いが掛かっている台湾人実業家に制裁を科し、この容疑者との金融取引を全面的に禁止するとともに、容疑者が所有する企業の銀行口座を凍結した。

 韓国当局は先月、北朝鮮船に石油製品を積み替え、対北朝鮮国連制裁決議に違反した疑いで香港船籍船1隻を拿捕(だほ)したと発表。また台湾検察当局は先週、チャーターした船を石油を売るため公海に向かわせながら、香港行きとして虚偽の申告をしたとの容疑で、「陳(Chen)」という名字の台湾人実業家を捜査していると明らかにしていた。

 容疑者は保釈され、まだ正式に起訴されていない。

 台湾法務部は12日、陳世憲(Chen Shih-hsien)容疑者と、同容疑者が所有するバンカーズ台湾グループ(Bunker's Taiwan Group Corp)、ビリオンズ・バンカー・グループ(Billions Bunker Group Corp)の2社に制裁を科したと発表した。前者は英領バージン諸島、後者はマーシャル諸島で登記された企業とされる。

 韓国政府の先月の発表によれば、問題の香港船籍船「ライトハウス・ウィンモア( Lighthouse Winmore)」はビリオンズ・バンカー・グループがチャーターしたもので、昨年11月に石油600トンを北朝鮮船に積み替えたとして拿捕された。

 ビリオンズ・バンカー・グループと陳容疑者との直接のつながりは見つかっていないものの、バンカーズ台湾グループについては、陳容疑者が一人株主であることが判明したという。

 台湾メディアによれば、陳容疑者は「中国人の仲買人」を通じて石油製品を売ったとし、北朝鮮船に渡るとは知らなかったと検察に供述していた。

 米国政府は先ごろ、北朝鮮に対する制裁に違反したとしてライトハウス・ウィンモアを含む船舶10隻を制裁対象に載せるよう国連安全保障理事会(UN Security Council)に要請した。(c)AFP