【1月12日 AFP】北朝鮮がこれまでに行った6回の核実験のうち5回が実施された同国北東部・豊渓里(Punggye-ri)の核実験場で、地下トンネルの掘削が活発化していると米シンクタンクが発表した。

 朝鮮半島情勢は長らく中断されていた南北対話が再開されたことで近況緩和の兆しが見えている。だが、米国の北朝鮮分析サイト「38ノース(38 North)」は11日、掘削機材や作業員、掘り出されたがれきの山などが写った豊渓里の衛星画像を公開した。

 最新画像では、北側のトンネルは入り口から水が流入するなど「休止」状態だが、西側の入り口でトンネル掘削が活発化しているという。また作業員約100~120人が列を作って並ぶといった普段と異なる動きが、実験場全体でみられるという。その目的は分かっていない。

 同サイトは「これらの活動は、北朝鮮が将来にわたって豊渓里での核実験の実施能力を維持するために努力を継続していることを浮き彫りにするものだ」と指摘している。

 画像が撮影されたのは昨年12月。金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長はその後、今月1日に発表した新年の辞で、米国のドナルド・トランプ(Kim Jong-Un)大統領に対し「核ボタンはいつも私の机の上にある」と威嚇する一方、韓国との対話について言及していた。

 過去6回の北朝鮮の核実験のうち5回は、万塔(Mantap)山麓に位置する豊渓里のトンネルの中で実施されている。周辺で小規模の地震が相次ぐ中、38ノースは昨年10月、豊渓里の核実験場が「Tired Mountain Syndrome(山疲労症候群)」と呼ばれる地質状況となっている可能性を報告した。これは地下での核爆発が周囲の岩盤に亀裂やひび割れを生じさせ、雨水や地下水などを透過しやすくなる現象だという。(c)AFP