【1月11日 AFP】来月韓国で開幕する平昌冬季五輪に北朝鮮が選手団の派遣を表明したことについて、専門家らは南北関係の改善に向けた変化の表れではあると一定の評価を下したが、その一方で同国の核開発能力に対する抑制効果についてはほぼ期待できないとの見方を示している。

 北朝鮮と韓国両国は9日、2年ぶりに南北会談を行い、平昌五輪に大規模な代表団を派遣することで合意。さらなる高官級の協議を約束した。

 北朝鮮は1988年に韓国で開催されたソウル五輪をボイコットした過去があることから、韓国政府および五輪主催者は「平和の五輪」と訴える平昌大会への北朝鮮の参加を熱望してきた。

 北朝鮮の平昌五輪参加は、五輪大会とパラリンピックが開催される2〜3月中の挑発行為の自制を暗に示すものだ。米韓両政府も、北朝鮮側が侵略準備だとして反発している例年の合同軍事演習を五輪・パラリンピック期間中は見送ることで合意している。

■「五輪が終われば振り出しに戻る」のか

 しかし、大会閉幕後の朝鮮半島情勢はどうなるのだろうか。これまでの状況に逆戻りとなってしまうのか。英シンクタンク「欧州外交評議会(European Council on Foreign Relations)」のスコット・スナイダー(Scott Snyder)氏は「五輪後もこの機会が平和と安全の促進に利用され得るかどうかは分からない」と述べ、大会後の状況については未知数との考えを示した。

 9日の南北会談ではいくつかの合意がみられたが、核・ミサイル問題に関しては、北朝鮮側が強い反発を示し、ゼロ回答に終わった。同国の代表団を率いている祖国平和統一委員会(CPRK)の李善権(リ・ソングォン、Ri Son-gwon)委員長は韓国記者団に対し、非核化は両国で話し合う問題ではないとして、「わが国の核・水爆、大陸間弾道ミサイル(ICBM)その他の最新鋭兵器はすべて、米国を狙ったものだ」と主張した。

 ソウルにある延世大学(Yonsei University)のジョン・ドルーリー(John Delury)氏は、「より長期的な戦略を立て、今すぐ実現させる必要がある。そうでなければ、五輪が終わった途端、振り出しに戻ってしまう」と今後の朝鮮半島情勢に警鐘を鳴らした。