【1月10日 AFP】フランスのパリ装飾美術館(Museum of Decorative Arts)で開催されたフランスのファッションハウス「クリスチャン・ディオール(Christian Dior)」の展覧会に、70万以上もの人が来場したと展覧会の主催団体が8日に発表した。

 今月7日まで、6か月間に渡り開催された展覧会はパリ装飾美術館の歴史で最も人気のあるものになった。来場者はブランドの最もアイコニックなデザインを見るため、平均4時間も入館待ちをした。

「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ(Christian Dior, Couturier du Reve)」展は、ブランドの70周年記念として企画され、マレーネ・ディートリッヒ(Marlene Dietrich)やリアーナ(Rihanna)といったスターたちが着用した、約300点のオートクチュールドレスを通して、ブランドのストーリーを語った。

フランスのパリ装飾美術館で開催された「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展の様子(2017年7月3日撮影)。(c)AFP/ALAIN JOCARD

 今回の展覧会の集客は、美術館の112年の歴史の中で単一の展覧としては最も多く、「記録的な」結果だと美術館のデービッド・カメオ(David Cameo)ディレクターはAFPに明かした。

 ジェニファー・ローレンス(Jennifer Lawrence)やロバート・パティンソン(Robert Pattinson)、ベラ・ハディッド(Bella Hadid)など、多くのハリウッドスターやトップモデルたちも来場した。中にはブランドのアンバサダーたちの姿も見られた。

 しかし、展覧会に不満を抱く人もいた。仏週刊誌マリアンヌ(Marianne)は、ルーブル美術館(Louvre Museum)同様に由緒あるこの美術館を、安売りしたのではないかと酷評した。

■「ショップウィンドウ」としての美術館

 ライターのアニエス・ポワリエ(Agnes Poirier)は、美術館が「アートを装い、商業ブランドのショップウィンドウになっている」と非難した。また以前、米玩具メーカー大手のマテル(Mattel)社とタッグを組み開催し大人気となった、着せ替え人形「バービー(Barbie)」の展覧会も酷評した。

 だがこの大きな集客は美術館にとって金銭的利益になったと美術館側は捉えている。その大きな黒字は美術館を「設備を新しくし、復元スタジオのオーバーホールを可能にする」とした。

フランスのパリ装飾美術館で開催された「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展の様子(2017年7月3日撮影)。(c)AFP/ALAIN JOCARD

 2012年に開催された米ファッションデザイナー、マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)の回顧展は20万人以上もの来場者を記録した。これは、公的資金を受けた美術館としては当時最多記録だった。

 パリ装飾美術館は3月に予定しているファッションをテーマにした展覧会が、「ディオール」の成功に続くよう期待している。この展覧会では、謎に包まれているベルギー出身のデザイナー、マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)が「エルメス(HERMÈS)」で過ごした日々を追う。

 本展覧会は、この春パリで開催されるマルジェラをテーマにした二つの展覧会の内の一つ。ガリエラ宮モード博物館(Palais Galliera)では3月から、マルジェラの作品の回顧展を開く予定だ。

 記録的な集客ではあったが、この「ディオール」の展覧会は、2017年の最も人気のあったパリの展覧会ではなかった。

 その座に君臨したのは「LVMH」グループによるミュージアム「ルイ・ヴィトン ファンデーション(Louis Vuitton Foundation)」が開催し、120万人が来場した「Icons of Modern Art」展だ。本展覧会では「ボリシェビキ革命(Bolshevik Revolution)」前に、コレクター、セルゲイ・シチューキン(Sergei Shchukin)によって収集された250点もの絵画から選りすぐりのものをフィーチャーしたものだった。これらがロシアの外で披露されたのは初だった。(c)AFP