【1月9日 AFP】中国沖で発生中の石油タンカーの炎上事故で、当局は9日、同船からの油流出を食い止める作業に追われた。事故をめぐっては、深刻な環境汚染に発展しかねないとの懸念が高まっている。

 現場は上海の東の沖合約160カイリの海域。軽質重油13万6000トンを積んでいた、イラン企業所有でパナマ船籍の「サンチ(Sanchi)」(全長274メートル)が6日夜、貨物船と衝突し、炎上した。

 仮に同船に積載の石油全量が流れ出た場合、1隻からの油流出量としてはここ数十年で最多となり、広範囲の海洋生物が死滅する恐れがあると、専門家らは警鐘を鳴らしている。

 中国の交通運輸省は、煙と炎に包まれたサンチの画像を公開し、9日になっても依然炎上を続けていると発表した。

 事態を受けて国際環境保護団体「グリーンピース(Greenpeace)」の東アジア事務所はAFPに声明を寄せ、「船は炎上しているため、軽質重油のほとんどは海に流出する前に燃え尽きると見込まれている」との見解を示した。

 その一方で、「もし油が燃え切る前に同船が沈没した場合、除去作業は困難を極めることになる」と警戒し、「現時点で重要なのは、油の積載量のうち、燃焼量と海への流出量を把握することだ」と指摘した。(c)AFP