【1月9日 AFP】定期的に夜勤シフトで働く欧州と北米の女性は、日中に勤務する女性と比べてがんにかかるリスクが19%高くなる可能性があるとの研究論文が8日、発表された。

 米がん学会(AACR)の学会誌「Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention(がんの疫学・生体指標・予防)」に発表されたメタ分析によると、オーストラリアとアジアの女性については、夜勤によるがん罹患(りかん)リスクの明らかな増大は見られなかった。

 論文著者で中国・成都市(Chengdu)の四川大学(Sichuan University)華西医学センター(West China Medical Center)のがん専門医ジンライ・マー(Xuelei Ma)氏は「われわれの研究が示しているのは、夜勤が女性のがん一般の危険因子として作用しているということだ」と話す。

「夜勤と乳がんリスクとの関連が、北米と欧州の女性でしか見られないことに驚いている」とマー氏。「これらの地域の女性の性ホルモン量が多い可能性がある。ホルモン量は乳がんなどホルモン関連のがんと明確に結びついている」

 同研究は北米、欧州、オーストラリア、アジアの390万人の研究参加者を対象とした11万件以上のがんについて、これまで発表されている61件の研究を分析したもの。

 長期の夜勤で高まる総合的ながんのリスクは19%だが、皮膚がんは41%、乳がんは32%と、特定のがんのリスクはさらに高くなっている。さらに乳がんに特定した場合、夜勤による罹患リスクは5年ごとに3.3%上昇するという。

 マー氏は、この研究結果は、長期的に夜勤する女性に対する健康保護プログラムの必要性を示していると指摘。「長期に夜勤に就く女性は、定期的に身体検査とがん検診を受けるべき」だとしている。(c)AFP