■ジーンズ1本のためにバクテリア数リットル

 研究者らは「染色工場の多くは、排水処理費を回避するために使用済み染料物質を河川に廃棄しており、環境に悪影響を与えている」と指摘する。

 新たな技法は日本の植物アイ(学名:Persicaria tinctoria)の作用を模倣したものだ。

 論文の共著者でカリフォルニア大学(University of California)生体工学部のジョン・デューバー(John Dueber)氏は、植物の代わりに「われわれの腸内バクテリアである大腸菌の一般的な実験室株を操作してインディゴ染料を生産する化学工場にした」と語った。

 植物のアイと同様にそのバクテリアは不溶性で染料としては使用できないインドキシルという化合物を生成する。インドキシルに糖分子を加えるとインディゴの前駆体であるインジカンに変わるのだ。

 インジカンは保存がきき、染料時に酵素を加えると布上で直接インディゴに変わる。

 デューバー氏によると、研究室はこの工程の商利用を可能にするため研究中だ。現時点では、ジーンズ1本を染めるのに必要なインディゴ5グラムの生産には「数リットルのバクテリア」が必要で、現状より高価になるとしている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux