【1月7日 AFP】コソボ警察は6日、国際手配されていた臓器売買組織リーダーのイスラエル人がキプロスで逮捕されたと明らかにした。

 地元メディアによると逮捕されたモシェ・ハレル(Moshe Harel)容疑者は、2008年にコソボの首都プリシュティナにあるメディクス診療所で違法に数十件の腎臓移植を行わせた疑いがある。

 コソボ警察はAFPの取材に「国際逮捕状に基づき、数日前にキプロスで頭文字MHの容疑者を逮捕した」と認めた。

 主に東欧や中央アジアの貧困地区の住民らを臓器提供者として搾取した容疑で10年近く前から当局に行方を追われていたハレル容疑者は、1万5000ユーロ(約200万円)の報酬を支払うと勧誘して貧困地区の人々に臓器提供を呼びかけていた。臓器提供を受ける側は主にイスラエル人で、移植料として最大で10万ユーロ(約1400万円)を支払っていた。

 2008年、腎臓を提供したトルコ人男性がプリシュティナの空港で倒れたことをきっかけに臓器売買組織の存在が発覚。メディクス診療所は警察の家宅捜索を受け、閉鎖された。

 欧州連合(EU)が主導するコソボの裁判所は2013年、コソボ人医師5人に対し国内で臓器売買を行った罪で禁錮刑を言い渡した。最長の刑期は禁錮8年だった。検察側は、違法に臓器を取り出された提供者たちは適切な医療措置も施されないまま「ごみ」のように扱われたと主張した。

 しかしコソボの最高裁判所は2016年、2013年の判決を取り消して新たな裁判を命じた。裁判は現在も継続中だ。

 起訴状によるとハレル容疑者は臓器売買組織の首謀者とされ、コソボのメディアが「トルコのフランケンシュタイン」と書き立てているトルコ人医師ユスフ・エルチン(Yusuf Ercin)容疑者(逃亡中)はメディクス診療所で臓器移植手術を行ったとされていた。(c)AFP