【1月5日 AFP】ペルーで4日、年末に恩赦が発表されたアルベルト・フジモリ(Alberto Fujimori)元大統領(79)が入院先の病院を退院した。恩赦を受け、そのまま自由の身となった。

 恩赦が発表された前日に急な血圧低下のため首都リマの病院へ搬送され、入院していたフジモリ氏は、車いすに乗り弱々しい様子で支持者に手を振りながら退院。息子のケンジ・フジモリ(Kenji Fujimori)議員に付き添われて車に乗り、病院を後にした。フジモリ氏が病院を出る際には、「われわれは愛している」と同氏向かって叫びながら、警備の規制線を越えて車に近づこうとする女性もいた。

 ペルー大統領府は12月24日に声明で、ペドロ・パブロ・クチンスキ(Pedro Pablo Kuczynski)大統領はフジモリ氏に対し人道的理由から恩赦を与えたと発表したが、これを受け同国内では抗議デモが繰り広げられた。フジモリ氏が実際に収監されていた期間は、人権侵害などの罪で下された禁錮25年のうちの半分にも満たなかった。

 フジモリ氏の恩赦発表の数日前にはペルー議会で、汚職疑惑が持たれているクチンスキ大統領の罷免を求める決議案の採決があったが、フジモリ氏の息子のケンジ・フジモリ議員が棄権したことから、フジモリ氏の恩赦は裏取引によるものではないかとの臆測も出ている。

 国連(UN)の人権専門家らは、今回の恩赦は政治的動機に基づくものだと非難し、1990~2000年の強権的なフジモリ政権の被害者たちに対する侮辱だと述べている。(c)AFP