【1月5日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の弁護士団は4日、トランプ氏の大統領職への適性に疑問を呈する側近らの発言を引用した暴露本の著者と出版社に対し、同書の出版差し止めと宣伝の中止を求める書簡を送った。出版社側はこれを受け、同書の発売を4日前倒しすると発表した。

Fire and Fury: Inside the Trump White House(仮訳:炎と怒り──トランプのホワイトハウスの内側)」と題された同書は、トランプ氏の最側近だったスティーブ・バノン(Steve Bannon)元首席戦略官・上級顧問の発言を多く引用し、同氏を臆病かつ情緒不安定で大統領の資質に大きく欠けた人物として描写している。

 弁護士らは、著者でジャーナリストのマイケル・ウォルフ(Michael Wolff)氏と出版元のヘンリー・ホルト(Henry Holt)社に送った書簡で、同書にはトランプ氏をめぐる「誤った、根拠のない発言」が含まれていると主張。同書の出版は名誉棄損(きそん)や虚偽の描写によるプライバシーの侵害などに相当すると指摘した。

 さらに弁護士らは、同書は「最も損害の大きな記述の多くについて、その情報源を明らかにしていない」と批判。また「情報源」とされた人の多くが、ウォルフ氏と話したことや、自身が出所とされる発言をしたことを否定していると主張。出版元に対し、同書の出版差し止めや宣伝の中止、内容の撤回、トランプ氏への謝罪を求めた。

 これを受けヘンリー・ホルト社は、今月9日に予定されていた同書の発売日を同5日に前倒しすると発表。著者のウォルフ氏もツイッター(Twitter)で出版の前倒しを発表し、「ありがとう、大統領」とコメントした。(c)AFP