■「真実という核」

 だが昨年、多くの注目を集めた「ザ・ラスト・ライン・オブ・ディフェンス(The Last Line of Defense)などの一連の風刺サイトを運営する謎の人物であるクリストファー・ブレア(Christopher Blair)氏の場合は違う。

 ブレア氏はAFPの取材に、自分のサイトははっきり風刺だと銘打っていると主張した。だが、数多くのファクトチェック(事実検証)サイトは、同氏の主張に異議を唱えている。中には、ブレア氏は金儲けのために偽ニュースを広めているという批判もある。

 3月には、オバマ大統領に逮捕状が発行されたとするブレア氏の記事が、本物のニュースとして数十のサイトに取り上げられた。

 それらは過去における直球の政治風刺とは程遠い。たとえ風刺家とは単に笑いを誘う以上のことを試みるものだとしても、率直に言ってパロディーから外れている。

 昨年5月、風刺サイト「ジ・オニオン」の当時の編集長コール・ボルトン(Cole Bolton)氏は、バーモント(Vermont)州の独立系新聞「セブンデイズ(Seven Days)」のインタビューで「われわれのすべての風刺の中心には、真実という核がある」と語った。「そのことを人々に示したい。ピンとくる風刺であってほしいし、われわれが生み出している風刺の中に物事を巧みにとらえる力があることを見てもらいたい」

 9月に編集長を退いたボルトン氏はさらにこう語った。「それをしなければ、われわれは風刺家ではなく、詐欺師になってしまう」「だから人々が(風刺を本物の報道と)信じてしまうとしたら、われわれがまずい仕事をしたということだ。あるいは、信じてしまう人々がとてつもないばか者かのどちらかだ」(c)AFP/Thomas URBAIN