【1月2日 AFP】イラン各地で反政府デモが繰り広げられる中、首都テヘランの街頭は比較的平穏を保っている。だが、テヘラン市民も多くの不満を抱いており、政府に行動を求めている。

「生活は本当に厳しい。物価が高くて圧迫されている。夫は公務員だけど、彼の給料ではとてもやっていけない」。2人の子どもの母親であるファルザネ・ミルザイエ(Farzaneh Mirzaie)さん(42)はそう話す。

 ミルザイエさん一家の大半はテヘランから南へ250キロにある町カシャン(Kashan)のじゅうたん工場で働いていた。しかし、じゅうたんの糸を買えなくなった工場経営者が、彼女の家族を含む従業員を全員首にしたのだという。

「どうやって生きていけばいいのか」とミルザイエさんは肩を落とす。

 こうした話は、長年に及ぶ経済運営上の失態と国際的な制裁による打撃から立ち直ろうともがくイランの各地で聞かれる話だ。

 昨年の大みそかの夜、ハッサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領は、その3日前からイラン全土に広がった反政府デモをめぐり、国民には抗議する権利があるが暴力に訴えるべきではないと呼び掛けた。テヘラン市民もそれに耳を傾けた。

 しかし教員のサリタ・モハンマディ(Sarita Mohammadi)さん(35)は「彼(ロウハニ大統領)は国民が抗議するのは自由だと言うけれど、私たちは声を上げるのが怖い。今こうしてあなたに話しているのだった怖い」と打ち明ける。

 銀行や政府庁舎、政権の象徴を攻撃するデモ参加者の暴力行為に対しては、多くの国民が嫌悪感を抱いている。それでも、社会に鬱積(うっせき)している不満には誰もが理解を示している。