■視覚障害者の62%が職に就いていない

 検査アシスタントの別の女性、レイディ・ガルシアさん(26)は、脳血栓症から6年前にほぼ全盲となり、当時目指していたエンジニアへの道を断念することを余儀なくされたという。ある朝、起床すると目が見えなくなっていることに気づいたと当時を振り返る。

 ガルシアさんは「物が良く見える人たちはとても視覚的です。つまり自分たちが見たものに従おうとします。私は主に触覚や聴覚によって自分がいる場所を把握します」と説明した。

 しこりを発見すると、ガルシアさんはそのことを医師に伝える。その報告を受けて、医師はがん細胞の有無を特定するための数種類の検査の実施を指示するのだ。

 検査を受けた女性に「気になる」しこりがあると伝えるのは「なかなか難しい」とパパミハさんは語る。2人によると、患者たちの反応はだいたい好奇心と不信感の2種類に分かれるという。急に黙り込んでしまう人もいれば、個人的な問題を話し出す人もいるという。

 ガルシアさんもパパミハさんも、触覚検査アシスタントになる前は無職だった。人口4800万人のコロンビアには、視覚障害のある人が50万人いるとされ、その62%が職に就いていない。国立視覚障害者研究所によると、これは国全体における失業率の7倍という高さだ。

 こうした厳しい社会状況のなか、「仕事が自分のところに舞い降りてきた」とガルシアさんは語る。

 またオラベ医師は、この仕事は視覚障害者を雇用する重要な受け皿になるだろうと述べ、今年も新たな検査アシスタントの採用計画があることを明らかにした。(c)AFP/Rodrigo ALMONACID