【12月28日 AFP】ナチス・ドイツ(Nazi)の指導者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)の署名が入った希少な水彩画について、オランダの専門家2人から贋作(がんさく)である可能性が高いとの指摘が上がっている。同国の新聞が27日、報じた。

 オランダ日刊紙フォルクスラント(Volkskrant)によると、ヒトラー作品の偽造品調査の専門家であるバート・ドローグ(Bart Droog)氏とヤープ・ファンデンボーン(Jaap van den Born)氏は、同紙に対し「偽物のヒトラー作品である可能性が非常に高い」と述べたという。

 透明水彩絵の具を用いてオーストリア・ウィーンの塔を描いたこの水彩画は今年、ある女性によってアムステルダムに本部を置くオランダ戦争資料研究所(NIOD)に寄贈された。女性の身元は明らかにされていない。

 NIODは当時、声明を発表し、「数か月間の鑑定プロセスを経た後、アドルフ・ヒトラー直筆の原画であるとの結論に達した」と述べ、ヒトラーが若かった1909~1913年に制作されたものと推定していた。

 その鑑定結果に今回疑問符が付いたことを受けて、NIODは、「こうしたコメントを真摯(しんし)に受けとめ、われわれの調査に対する批判的な反応に耳を傾けたい」との声明を発表。また、同絵画を本物と推定した同研究所の結論は「暫定的」なものにすぎないとも述べた。

 ドローグ氏とファンデンボーン氏によると、同絵画は、ヒトラーの美術作品の贋作者として有名なラインホルド・ハニッシュ(Reinhold Hanisch)が手掛けた可能性が高いという。(c)AFP