【1月5日 AFP】ナイジェリア人女性のブレッシング(30、仮名)さんは、AIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)の特効薬であることを保証するとうたうフェイスブック(Facebook)上の広告にすがろうとしていた。

 HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染しているブレッシングさんは、この広告だけが頼みの綱のような気がした。そのため、良くないとは思いつつも、広告をクリックした。

 ブレッシングさんは、現代の技術に精通していると思われる伝統治療の専門家とのやり取りのために、フェイスブックで偽のプロフィールを作成した。いざ問い合わせをしてみると、エイズが完治するという植物由来の薬の対価として10万ナイラ(約3万円)を要求された。最低月給の5倍以上に当たる額だ。

 ブレッシングさんは怪しみ、考える時間が欲しい、直接会って話がしたいと頼んだ。しかし、自称「慈善家」はそれには応じず、彼女の銀行口座の情報を聞いてきた。数か月前のことだ。

「彼はお金のことしか話さなかった。だから見限った」「試してみるつもりだったのに」と話すブレッシングさん。薬は効果的とする数多くの意見を見たと明らかにした。

 ナイジェリアではその後、根治はできないもののHIVを抑制する無料の抗レトロウイルス治療が普及し、そのおかげでブレッシングさんは首都アブジャで社会学の勉強を修了することができた。

 信心深い人が多いナイジェリアでは、HIVであるというだけで汚名を着せられ、多くの患者たちは苦しい思いをしている。そのため、インターネット上の詐欺をはじめ、さまざまな「奇跡の療法をうたう治療師」の格好のターゲットにされているのだ。

 宗教指導者たちも、毎月のように信者が「救われた」と吹聴している。人口2000万人以上の商都ラゴス(Lagos)には、豪壮な複数のキリスト教福音派の教会がある。これらの教会にはアフリカ全土から病人が集まってくる。