【12月30日 CNS】中国社会科学院(Chinese Academy of Social Sciences)は、「青書:2018年中国経済形勢における分析・予測」を発表し、来年の中国の国内総生産(GDP)を6.7%と予測した。

 世界経済は2017年、全体的に着実な回復をみせ、欧米や日本など先進国の経済回復は予想より良好で、中国経済にとっても外部からの需要は明らかに改善していると指摘する。

 同時に、中国経済が高度成長期から中高度成長期という新たな段階に入っている「新常態(ニューノーマル)」下にあって、中国経済は構造調整を加速させ、経済成長における新たな動力を蓄積させたことで、財政収入が予想よりも良好で、政策もより積極的になったことで、工業生産の成長率も順調に伸び、在庫水準も改善された。こうした要因から、青書は2017年中国国内のGDP成長率は約6.8%(前年同期比0.1ポイント増)で、中高速の安定した経済成長を維持していくだろうとみている。

 また2018年の展望として、まず供給側から見て中国は労働力の供給が2012年より年々下降の一途をたどり、近年の生産成長率は伸び悩み、資本ストックの伸び率も固定資産の投資速度が下降するにつれて低下してきている。短期間で著しい変化は望めないものの、2018年の中国のGDP成長率は安定しつつも小幅な下降が見られると予測している。

 しかし、2018年度の中国経済成長には前向きな要素も多くある。例えば、上海貿易区や外資系企業投資の新モデル、構造改革などといった新たな対外開放政策と、「一帯一路(One Belt One Road)」建設への積極的な推進は、中国の外部需要を刺激させ、そして安定させた。その結果、中国の雇用規模は持続的に拡大し、失業率は2013年以来最低数値を維持している。これは住民の収入が増え、社会が安定したことなどによるものが大きいとみている

 青書の推計では、2018年の中国の消費者物価指数(CPI)は2%(前年同期比0.4ポイント増)と緩やかな上昇傾向にある。生産者物価指数(PPI)は3.6%(同2.6ポイント減)で、中国の工業製品価格が高騰したことが原因だとしている。

 全体的には、今年と来年2年間の中国経済は「新常態」下で、雇用、物価は基本的には安定した範囲内で落ち着くものとみられ、急激な変化や痛みを伴う「硬着陸」にはならないだろうと見ている。(c)CNS/JCM/AFPBB News