【12月28日 CNS】中国の大学院入学試験が23~25日に行われた。中国教育部によると2017年の大学院入試受験者数は201万人で、16年よりも24万人増えた。

 電子科技大学(University of Electronic Science and Technology of ChinaUESTC)で都市管理を学んでいる3年生の孫さんは、浙江大学(Zhejiang University)の大学院で引き続き同じ分野について学びたいと考えている。「学術研究にも興味があるし、将来は専門分野と関係のある仕事に就きたい」と話す。

 華中科技大学(Huazhong University of Science and Technology)同済医学院(Tongji Medical College)を今年卒業する王さんは、「もしも大卒で仕事を探そうと思うなら医薬・保健衛生や、医療機器関係の仕事は見つかるかもしれないけど、医者になることはできない。修士でも足りない。少なくとも博士課程は必要」と話す。

 より多くの大卒生が、大学院進学を卒業後の進路として選択するようになってきている。中国青年報社(China Youth Daily)社会調査センターが大学生らを対象に大学院へ進学する理由についてアンケートを行ったところ、「就職に有利だから」「有名大学の大学院に入るため」「興味のある分野について突き詰めるため」「就職のプレッシャーからいったん逃れるため」などといった回答が並んだ。

 清華大学(Tsinghua University)教育研究院の史静寰(Shi Jinghuan)常務副院長は、「受験者数が年々増加している原因は、就職市場のプレッシャーや、社会が学歴に対する要求を盲目的に引き上げているため。ほかにも、学生自身の志向の変化や、家族の期待も原因だ」と分析する。

 電子科技大学の政治・公共管理学院で学生の生活指導を行う呂欣燁(Lv Xinye)補導員は、「大学院では専門分野について深く学ぶことができるため、卒業後は専門職に就く人が多い。大卒生はどちらかというと、専門知識よりもコミュニケーション能力や個人の素質を重視する業界で求められる」と話すが、「大学院を出たからといって将来が約束されるわけではないし、大学院に行かなかったからといって、将来の希望がなくなるわけでもない。それぞれやりたいことや就きたい職業によって違う。学生自身が冷静に判断して見極めるべきだ」と指摘する。

 確かに、一部には大勢の考えに流されて盲目的に大学院に進学する学生がいる。前述のアンケートでも、「就職のプレッシャーからいったん逃れるため」と答えた人は24.9%、「友人たちもみんな大学院へ行くから流されて」と答えた人は19.6%だった。

 厦門大学教育研究院(The Education Institute of Xiamen University)の別敦榮(Bie Dunrong)副院長は、大学卒業の時点で将来の計画がはっきりと立てられないというのは「正常なこと」だとしている。「現在の中国の経済成長の速さからみれば、高度人材への需要は依然として巨大であり、大学院進学者数は特に『過剰』とは言えない。学校側ももっと学生の人生設計を重視し、指導やアドバイスをすることも必要である」と話した。(c)CNS/JCM/AFPBB News