【12月26日 AFP】毛皮を着用している時に、町中で侮辱や襲撃された人のために設置されたホットラインを巡って、仏毛皮産業と動物愛護活動家らが衝突している。

 先日、フランス毛皮連盟は「動物愛護活動家によるデマ情報」に対し反撃した。「毎週、毛皮愛好家らは町中で過激派の人々によって言葉、あるいは物理的な暴行を受けている」と連盟はAFPの取材に対しコメント。フランスに新たに情報センターと「SOS Animal Activist Attacks」という名のホットラインを設置する計画を発表した。嫌がらせを受けた人に対し「法的支援とサポート」を提供する。

 また連盟は、「イメージを良くしようと突然毛皮を中傷しはじめたのにも関わらず、他の動物製の素材を使用している」ファッションハウスに対し、「偽善」なのではないかと厳しく批判した。

 こういった戦略は目先のことしか考えていないとレーベルに警告し、「明日はシルクやウール、レザーが動物愛護活動家らの標的となる」と主張した。

 しかし主力の反毛皮団体である動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」は12日、暴行の「本当の被害者」は動物だと反撃した。「この残虐な産業はミンクやキツネ、チンチラにアライグマ、猫や他にも多くの生き物の命がケージの中に閉じ込められ、その後ガス、感電や殴り殺しにされている」と声明でつづり、毛皮やレザーに取って代わるものはいくらでもあるのだと話した。

仏・パリ市内にあるオペラ・ガルニエの前で抗議活動を行うPETAのメンバー(2016年9月27日撮影)。(c)AFP/ Thomas SAMSON

 多くの大手ファッションレーベルは毛皮の使用を取りやめている。つい最近も「グッチ(GUCCI)」がファーの使用を廃止すると発表した。

 ベジタリアンである英国デザイナー、ステラ・マッカートニー(STELLA McCARTNEY)は毛皮を使用したことはなく、コレクションではレザーの使用も禁止。本物のレザーと変わらないとする「ベジタリアン・レザー」を作り出した。

 しかしフランス毛皮連盟は、動物愛護団体が推奨する「模造毛皮といった合成素材の多くはガソリンなど、微生物で分解できない材料からできていて、石油化学工業の利益へとつながり」環境に悪影響を及ぼすものだと警鐘を鳴らした。

 連名メンバーの90パーセントは「『ウェルファー(WelFur)』の認証を受けたヨーロッパのミンクやキツネ農家を使っており」、2020年までには全メンバーが認証を受けた毛皮をされた使うことを目指している。

 衰退するどころか、フランスの毛皮産業は成長しており、3億ユーロ(約337億500万円)の売上高で、2500人近くを雇用していると連盟は話した。(c)AFP