【12月26日 AFP】中国政府が国連(UN)の制裁決議に基づいて同国内にある北朝鮮企業の閉鎖を決定したことから、首都・北京では、ウエートレスが歌を披露するレストランから、裏通りでひっそり営業している貿易業者まで、さまざまな北朝鮮企業が閉鎖期限が1月に迫る中で先行きの見えない年末を過ごしている。

 北朝鮮の貿易総額の90%を占める中国は、北朝鮮が国外でなけなしの外貨や経済的利益を得るための主要な出先機関という役割を果たしてきた。だが、AFPが取材した中国商務省職員によれば、中国政府は国連の経済制裁に従い、北朝鮮の企業や非営利団体に対し、1月9日までに閉業するよう命じたという。同国政府は、核・ミサイル実験を繰り返す北朝鮮政府にうんざりしているのだ。

 北京にある十数の北朝鮮企業を訪ねてみると、多くの店主や従業員は、閉鎖しなければならないのか、定かでないようだった。

 北京にある北朝鮮の巨大な大使館施設には、「最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)委員長万歳」というプロパガンダが書かれた赤い横断幕が掲げられているが、その付近の裏通りでは、四つの貿易会社が道路に面した1階店舗以外の場所で営業していた。

 その一つ、エバー・ビクトリアス(Ever Victorious)。ドアを開けてくれた中年男性は自分の名前や、近くにある大使館の関係者かどうかを明らかにすることを拒んだ。国連によれば、北朝鮮の外交関係者は、自身の地位を利用してビジネスを行っている例が多い。

「私たちは、この街で入手できる生活必需品を購入している」と男性は話し、この会社で具体的に何を取引しているかについては詳細を明らかにしなかった。事務所内には、炊飯器と書かれた箱が天井まで山積みになっていた。

「私たちは、自給自足の自立経済で問題なくやっている」と男性は話した。しかし、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領についてどう思うかと聞くと、追加制裁による影響が出始めていることを認めた。

「あいつ(トランプ氏)のせいで、わが国は今こんなにも困難な状況にある。私たちはあいつをとことん見下げている」

「でもどんなに私たちをいじめようが、私たちにはやり繰りを続けていけるだけの力が独自にある」

 そう主張する一方で男性は、この貿易会社が1月に閉鎖されるのかについては答えなかった。