【1月7日 AFP】トランペットやドラムの音が鳴り響くなか、イラクの都市バスラ(Basra)の川に浮かぶスピードボートに手を取り合いながら乗り込んだ新郎と新婦──。

 色とりどりのモールや風船で装飾された小さなスピードボートの上で2人は帽子をかぶり、記念撮影のためカメラに向かってポーズを取った。2人はまるでこの船のキャプテンのようだ。

 バスラを流れるシャトルアラブ(Shatt al-Arab)水路での結婚式は、1980~1988年のイラン・イラク戦争以来ずっと行われておらず、今回数十年ぶりに再開された。

 多くの人は、終戦後も緊張状態が続くイランやクウェート、また、2003年にアメリカ主導のもと始まったイラク戦争で反政府サイドに回ったグループからの攻撃を恐れ、川周辺での活動を避けてきた。

 水上結婚式を再開したマーチタイム運送(The General Company of Maritime Transports)の広報担当者は「街の人はみな、川の上での結婚式をまだよく覚えている」と話す。

「私たちはかつての素晴らしい思い出を、この安全な船で取り戻したいのです」

 今回、水上での結婚式にしようと最初に言い出したのは新郎のハッサン・アリ・ジャバーさんだった。ジャバーさんは「川の上での結婚式は見る人すべてを幸せにできる。交通渋滞に巻き込まれるより素敵でしょう?」と冗談交じりに語った。(c)AFP/Karim JALIL