【12月25日 AFP】米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)は24日、脳振とうの安全対策を変更し、外部の専門家を相談役として毎試合ニューヨークの中央指令センターに控えさせるなど、いくつかの新しい策を導入したことを明かした。

 変更案はNFLの頭部・頸部(けいぶ)・脊椎委員会が11日に承認し、前週末から導入された。リーグと選手会もこの案を支持している。リーグの医療部門を統括するアレン・シルズ(Allen Sills)氏は「われわれは安全対策とその適用状況を常にチェックし、改善を試みている。対策が必要な場面は、シーズンを通じて発生している」と話した。

 シーズン終盤にリーグが変更へ踏み切った背景には、12月10日に起こったヒューストン・テキサンズ(Houston Texans)のQBトム・サヴェージ(Tom Savage)の件、あるいはシアトル・シーホークス(Seattle Seahawks)のラッセル・ウィルソン(Russell Wilson)の件などが物議をかもしたことがある。

 指令センターの相談役は試合の映像をチェックしながら、現場にいる各チームの医療スタッフと連絡を取って負傷が発生した正確な状況を伝えるなど、安全手順の実施を補佐する。プレーオフの全試合と来年2月のスーパーボウルでは、相談役がすでに負傷した選手に対応している状況で新たな負傷者が発生した場合に備え、相談役1人が追加配置される。

 今回の変更では、衝突後に発作を起こした選手は意識を失ったものとみなされ、すぐに試合から離れさせなくてはならない。また、外傷がないにもかかわらず、うまく立ち上がれずによろけたり、倒れたりした選手は、すぐに控室へ戻されて検査を受ける。検査をパスした選手は、試合へ戻ることが認められる。

 負傷した選手はメディカルスタッフから直接、脳振とうを起こしていないかの診断を受ける。そして試合中に脳振とうの検査を受けた選手は全員、試合の翌日に医療スタッフの手で再検査を受けることが必要になる。今季のNFLでは、24日に入る時点で540件の脳振とうの検査が試合中に行われたが、再検査が実施されたのは2件だった。(c)AFP