■「人は第二のチャンスに価する」

  その多くが人を殺したイスラム過激派にこのような待遇を与えればモラルハザード(道徳的危機)を招くという批判もある。これに対しサウジ当局はプログラムの参加者が制裁を受ける可能性は常にあると言っている。アブマガヤド氏によると、少なくとも3か月センターで過ごしても改心しない者は「司法手続き」に送り返されるのだという。

 だがセンターは強制よりも結婚や子供を持つことなどで家族の絆を強め、暴力への回帰を難しくすることを推し進めている。

 センターに勤める教育心理学の専門家、アリ・アフラン(Ali al-Afnan)氏は「テロリズムに力で対抗することはできません」と語った。「思想と闘えるのは思想だけです」

 AFPの取材中に突然アフラン氏に電話がかかってきた。かつてアフガニスタンでタリバンと共に戦い、後にセンターで過ごした元「受益者」の男性からだった。

 現在では結婚し子供も生まれた男性は大学に戻って大学院課程に進もうと考え、アフラン氏にアドバイスを求めてきたのだった。話し終えて電話を切ったアフラン氏は、「今の男性は私たちにとって模範的な人です」と話した。「人は第二のチャンスに値するということを示す輝かしい実例です」 (c)AFP/Anuj Chopra