■過激主義の一掃の中心施設

 サウジアラビアは、イスラム教スンニ派(Sunni)に属する復古主義のワッハーブ派(Wahhabi)の思想を世界に輸出していると以前から批判されてきたが、その一方でサウジ自体も国内で発生する「テロ攻撃」の被害を受けてきた。

 イスラム教超保守派の影響力をそごうとしてきたムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子は2017年11月下旬、テロリズムを地球上から消し去るとしてイスラム過激主義と闘う41か国の軍事連合をスタートさせた。

 だが国内の暴力的過激主義の一掃に向けたサウジアラビアの戦略の中で、2004年に設立されたこのリハビリテーションセンターは中心的な施設の一つになっている。

 サウジ当局によると、これまでにこのセンターはキューバのグアンタナモ(Guantanamo)にある米海軍基地の収容所の元収容者も含め、テロ関連の罪で有罪判決を受けた3300人以上の男性を受け入れたという。

 センター長のアブマガヤド氏は「成功率は86%だ」と語った。センターを「卒業」した後、少なくとも10年間ジハードに戻らなかった男性の割合だという。残りのうち大半は「逸脱的な行動」の兆候を示すだけで、暴力的なジハードに逆戻りしたのはごくわずかだとアブマガヤド氏は説明した。

 しかしこの社会復帰プログラムを研究してきた米国のあるテロ専門家は、センターを出た人が戦闘の第一線に現れたという報道もあると指摘し、実際の再犯率はもっと高いと述べた。

 また、米ジョージア州立大学(Georgia State University)のジョン・ホーガン(John Horgan)氏は、テロリストを心の面から立ち直らせるという先進的なプログラムを実施しているサウジは称賛に値するとした一方で、参加者に関する情報の透明性を上げなければ、再びテロリズムに関与する脅威が減少したとしても、それがこのプログラムの効果によるものか分からないと指摘した。