【12月24日 AFP】仏西部沿岸の町マレンヌ(Marennes)でカキ養殖業を営むジョフリー・デュボー(Joffrey Dubault)さん(29)は、ガレージで4年間かけた試行錯誤の末、レモン風味のカキの開発に成功した。

 細身で青い瞳、野球帽をかぶったデュボーさんは「最初のころはカキの9割方を捨てなければならず、けっこう落ち込んだ」と語る。「今の成功率は95%さ」

 特許も取得したデュボーさんのレモン風味のカキの作り方は、レモンの抽出液を加えた海水の水槽にカキを2~12時間浸すというもの。レモン液が加えられた海水をえらからたっぷり吸い込んだカキはレモン風味になる。

 簡単なように思えるが、その過程は細かな16の段階に分かれており、一つの段階に不手際があっただけでも失敗するという。

 カキの名産地マレンヌで毎年40トンを生産しているデュボーさんは、市場の店でカキを買う客の多くが一緒にレモンも付けてほしいと言うことから「レモン風味のカキ」というアイデアを思いついた。10月に風味付きカキの販売を開始すると、このカキを求めてベルギーや香港からバイヤーが訪れるようになった。

 デュボーさんの発明は今年4月にベルギーの首都ブリュッセルで開催された水産専門見本市で注目された。デュボーさんと同様に風味付きカキの開発に7年間も取り組んできたという中国人参加者たちからも祝福されたという。

 フランスでは生ガキに細かく刻んだエシャロット入りのビネガーをつけて食べることもあるが、デュボーさんはエシャロット風味のカキを作ることにも成功したという。 

 デュボーさんは風味付きカキの販売を手掛ける自身の会社「So'ooh」を立ち上げ、アジア市場向けにしょうが風味、イタリア市場向けにマスカット風味や甘口の酒精強化ワイン風味のカキも開発した。来年にはグレープフルーツ風味とミラベル(セイヨウスモモの仲間)風味が加わる予定だ。さらに来年の年末の休暇シーズンをめどにトリュフ風味、こしょう風味のカキの開発も目指している。(c)AFP/Olivier GUERIN