【12月31日 AFP】2017年の米スポーツ界では、試合前の国歌演奏時に起立を拒否したナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の選手に対し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が「くそ野郎ども」と攻撃したり、プロバスケットボール協会(NBA)を代表するスーパースターが、ホワイトハウス(White House)の現居住者である同大統領を「ばか」と痛烈に批判したりするなど、政治的問題に直面するケースが目立った。

 米スポーツ界で数十年来の恒例行事となっているホワイトハウスへの表敬訪問は、今年9月の週末に騒動が起きて以降、平和的かつ政治とは無関係のものではなくなり、同国を代表するメジャースポーツのNFLとNBAでは、大きな問題に発展する事態となった。

 イスラム圏の一部の国に対して米国入国を禁止したトランプ政権への反発が高まるなか、今年2月に行われた第51回スーパーボウル(Super Bowl LI)では、スポーツと政治は分離すべきであるという意見が大半を占めた。

 ニューイングランド・ペイトリオッツ(New England Patriots)のQBトム・ブレイディ(Tom Brady)は、「政治について話す気はない。人は自分がどちらの味方か示したいものであり、そうする権利がある。そして自分にも、問題にはかかわらない権利がある」と語っていた。同選手は自身5回目のスーパーボウルで、3-28の劣勢から大逆転でアトランタ・ファルコンズ(Atlanta Falcons)を倒し、チームを優勝に導いた。

 その直後には、米国で最も高い人気を誇るNFLが2017年シーズン開幕直後に騒動に巻き込まれる気配などまるでなかったが、すでに問題の種はまかれていた。それは、当時サンフランシスコ・フォーティナイナーズ(San Francisco 49ers)に所属していたQBコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)が、警察官による人種差別への抗議に関心を引くために、国歌演奏時に起立を拒否したことだった。