【12月21日 AFP】野生生物取引の監視団体「トラフィック(TRAFFIC)」は21日、インドネシアのセンザンコウが、毎年数千匹規模の違法取引により絶滅の危機に直面していると警鐘を鳴らした。

 センザンコウは東南アジアおよびアフリカの一部原産。アリを食べるおとなしい哺乳類で、厚いうろこに覆われている。主に中国やベトナムで珍味や伝統薬の原料として珍重され、違法取引量は哺乳類としては世界最大となっている。

 トラフィックが同日発表した報告書によると、2010~15年の6年間にインドネシア当局が押収したセンザンコウは3万5000匹を超えたとされ、その規模の大きさを物語っている。

 同団体はインドネシア原産のマレーセンザンコウについて、頻発する密猟のせいで「絶滅の危険性が極めて高い」と訴え、「押収量が比較的多いことは、インドネシア当局の問題対策意欲がうかがえる一方で、密猟が横行している様子も浮き彫りになっている」と指摘している。

 報告によると、同時期にインドネシア国内でのセンザンコウ密猟関連の逮捕者は少なくとも127人に上ったという。

 同国スマトラ(Sumatra)島は密猟の頻発地であると同時に、マレーシアやシンガポールの密輸業者らとの主な取引場所になっているとみられており、ここから密輸されるセンザンコウの大半が中国やベトナムへ送られるという。(c)AFP