【12月20日 AFP】元ナチス・ドイツ(Nazi)の親衛隊(SS)隊員で禁錮4年の判決を受けていたオスカー・グレーニング(Oskar Groening)被告(96)の弁護士は19日、収監が被告の「生きる権利」を侵害するとして、憲法裁判所に異議を申し立てたことを明らかにした。

「アウシュビッツの簿記係」(Bookkeeper of Auschwitz)の異名で知られるグレーニング被告は、第2次世界大戦(World War II)中にナチスの強制収容所で犠牲となったユダヤ人ら30万人の殺人幇助(ほうじょ)罪で起訴され、2015年7月に禁錮4年の有罪判決を受けた。

 グレーニング被告は上訴し、独連邦通常裁判所が2016年にこれを棄却すると、今度は刑の執行猶予を請求。これまで有罪判決にもかかわらず自宅で生活してきたが、今年11月に上級地方裁判所は被告に対し、健康上の問題はないとして刑務所への収監命令を下していた。

 これを受けグレーニング被告の弁護団は今回、高齢の被告を収監することは基本的権利を無視しているとして憲法裁判所に異議を申し立てた。

 弁護士のハンス・ホルターマン(Hans Holtermann)氏はDPA通信に対し、グレーニング被告が収監されるのであれば、憲法の観点から、身体と生命に関する基本的権利が保障されるように被告の健康状態を考慮しているかどうか調査するべきだと主張した。

 ただ、憲法裁判所への申し立ては判決の執行猶予につながるものではなく、グレーニング被告はこの先いつでも命令通り収監される可能性がある。

 グレーニング被告はアウシュビッツ強制収容所で簿記係として働き、殺害されたり強制労働を科されたりした収容者から没収した金銭の仕分け・集計と、ベルリンにいるナチス上層部への送金に従事していた。(c)AFP