【12月20日 AFP】オーストラリア出身のベテランラグビー選手で、2015年には米ナショナルフットボール(NFL)にも挑戦したジャリード・ヘイン(Jarryd Hayne)が、性的暴行で民事訴訟を起こされていることが19日、複数のメディアの報道でわかった。

 被害者の弁護士が米サンノゼ・マーキュリーニュース(San Jose Mercury-News)などに語ったところによると、「Vさん」という女性が、2015年12月にヘインに性交渉を強いられたとして訴えを起こしている。米サンタクララ(Santa Clara)郡の地区検察局は、2016年10月にこの件を刑事事件として再検討した結果、証拠不十分で見送ったというが、詳しいことは明らかにしていない。

 性的暴行は、発生してから数週間、あるいは数か月経ってから被害が報告されるため、捜査が始まる頃には物的証拠が消えてしまっていることも多く、検察にとっては立証が難しい。ヘインは性的暴行の他にジェンダーバイオレンスや精神的苦痛を与えたことなどでも訴えられている。

 訴状によれば、当時のVさんは処女で、暴行されたことをしばらく隠していたが、下腹部の痛みが続いたことから2016年4月に病院を受診した。そして弁護士によると、Vさんが暴行を受けたと結論づけた病院が、法的義務に基づいてサンノゼ(San Jose)の警察に連絡し、最終的にVさん本人が5月、警察に話したという。

 弁護士によれば、Vさんとヘインはお互いに知り合いだったが、深い関係ではなく、暴行があったとされる晩は、それぞれの友人とともにバーで顔を合わせた。その後、酒に酔ったVさんはヘインのアパートへ連れていかれ、翌朝目を覚ましたとき周囲は血の海で、ヘインは姿を消していたという。

 弁護士は「被害者は若く感受性の強い女性で、友人とともに安心できるはずの場所、状況にいました。ところがそこでヘイン氏が彼女を酒に酔わせ、さらに自らの身体的な特徴も利用して、性行為をしたいかを自分で判断する能力を彼女から奪ったのです。その結果、彼女は精神的にも、肉体的にも非常に苦しみました」と話した。

 シドニー出身で、現在29歳のヘインは、2015年にNFLのサンフランシスコ・フォーティナイナーズ(San Francisco 49ers)にPRとして加入。開幕から6試合連続で出場した後にいったん放出され、その後シーズンの残り2試合のためにチームへ復帰した。

 翌年は2016年のリオデジャネイロ五輪に7人制ラグビーのフィジー代表として出場することを目指したものの落選。母国へ戻ってオーストラリア・ラグビーリーグ(ARL)のチームでプレーした後、来季からはかつて名声を築いたパラマタ・イールズ (Parramatta Eels)へ復帰することが決まっている。2017年はラグビーリーグW杯(2017 Rugby League World Cup)にもフィジー代表として出場した。(c)AFP