【12月20日 AFP】ゴム弾で外傷を負った人の約3%が、その負傷が原因で死亡していたとする、死傷者記録の再調査に基づく研究結果が19日、発表された。研究者らは、ゴム弾に代わる群集鎮圧手段の必要性を強く訴えている。

 米国を拠点とする研究チームは、1990年~2017年の27年間にイスラエルとパレスチナ自治区、米国、インド、北アイルランド、スイス、トルコ、ネパールなどで発生したゴム弾が原因となった外傷、身体障害、死亡に関する科学論文26報を調査した。

 今回の調査では、対象となった負傷者1984人のうち、53人(全体の3%)が死亡していたことを突き止めた。

 研究チームはさらに「全生存者のうち約300人(15.5%)には、ゴム弾の衝撃を直接の原因とする永続的な身体の障害が残った」ことを指摘。「失明と腹部外傷による脾臓や腸の一部の摘出などが、この身体障害の大半を占めている」とした。これらのケースでは、頭部や首にゴム弾を受けていた。

 ゴム弾は暴徒や群集を鎮圧する手段として、相手を殺傷せずに無抵抗の状態にすることを目的としているが、実際には多数の死傷者を出している。これについて研究チームは、「狙った場所に命中する精度が本質的に低いことから、当て損ないとそれに伴う重度の外傷や死亡といった結果が生じる恐れがある。そのためゴム弾は群衆整理の状況で使用するのに適切な武器ではないと考えられる」と説明した。

 ゴム弾以外にも、催涙ガス、高圧放水銃、音響兵器、電気テーザー銃といった群集鎮圧用武器があるが、これらもまた長年にわたり「深刻な外傷」を引き起こしている。研究チームは、英医師会雑誌(BMJ)のオンライン医学誌「BMJ Open」に発表した論文に、「ゴム弾以外の武器の方が安全性が高いことを示唆するものでは決してない」と書いた。

 その一方で、今回の研究は「武力および武器に代わる手段の適切な使用を、あらゆる状況で考慮しなければならない」ことを示唆していると結論づけ、群衆鎮圧用武器の使用に関する「国際的なガイドライン」を早急に作成する必要性を訴えた。(c)AFP