【12月20日 AFP】(写真追加)戦闘で8700人以上の犠牲者を出しながら国際社会から「忘れられた」戦争となっているイエメン内戦が、20日で1000日目を迎えた。

 数多くの子どもたちが餓死する中、援助団体らはこの国での人道危機が日ごとに深刻さを増していると警告し、内戦終結への働きかけを国際社会に訴えている。

 子ども支援の国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)」は、港湾や空港の封鎖、食糧や医療品の不足、コレラの発生などが複合的な原因となり、年末までにイエメンの子どもたち5万人が亡くなる恐れもあるとしている。同NGO上級アドバイザー、キャロライン・アニング(Caroline Anning)氏は「苦難の深刻さと、すべて人が引き起こした事態だということを考えると、イエメン情勢はもっと国際社会から注目されてしかるべきだ」と語る。

 援助活動に従事する人の多くが期待する最優先項事項は、2015年3月26日以降、イスラム教シーア派(Shiite)反政府武装勢力「フーシ派(Huthi)」を攻撃しているサウジアラビア主導の連合軍がイエメンの封鎖を解除することだ。

 仏NGO「ACTED」によると、内戦前のイエメンは食糧輸入への依存が高かったことから、現在では人口の4分の3に当たる約2200万人が援助に頼って生きている状況だという。また11月以降に封鎖が強化されたことで、ワクチンが極度に不足しており、すでに広まっていた感染症の状況もさらに悪化している。

 インターネット上で最近立ち上げられた「Yemen Can't Wait(イエメンは待てない)」という支援運動では、世界の著名人約350人が国連(UN)安全保障理事会常連理事国である米英仏の3か国首脳に対し、イエメン内戦の即時停止と和平交渉に尽力するよう要請する公開書簡に署名した。

 18日の仏紙ルモンド(Le Monde)には、この書簡の内容が掲載された。そこには、内戦によってイエメンは「中東の最貧国から、世界最悪の人道危機になってしまった」と書かれていた。

 書簡ではさらに、イランとサウジアラビアの代理戦争と化しているこの内戦で、イランと同じシーア派反政府武装勢力を攻撃しているサウジアラビアが米英仏と巨額の軍事契約を結んでいる点も指摘。「イエメンの何百万人もの女性、男性、子どもたちは、人命よりも利益と政治を優先する世界の指導者たちから見捨てられたと感じている」とつづられた。