【12月20日 AFP】米アラスカ州中部の積雪量が1800年代半ば以降で倍以上に増加しているとの研究結果が19日、発表された。研究は地球温暖化にその原因があると指摘している。

 英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された論文によると、ボーリング調査で採取された2本の氷コア(円柱状試料)から、同州中南部における冬季の積雪量が1840年頃以降で117%増加したことが明らかになったという。調査は、アラスカ州にあるデナリ国立公園(Denali National Park)内のハンター山(Mount Hunter)で実施された。

 研究では、夏季に同50%近く増加していたことも判明している。

 論文の共同執筆者で、米ダートマス大学(Dartmouth College)のエリック・オスターバーグ(Erich Osterberg)氏は「増加量を最初に見た時は非常に驚いた」と述べ、「研究結果を確実なものにするために念入りに何度も確認する必要があった」ことを明らかにした。

 次に研究チームは、その原因の解明に乗り出した。

 科学モデルを用いた予測では、地球温暖化で気温が1度上昇するごとに、地球規模で雨や雪の量(全球降水量)が2%増加する。温度が高い空気ほど、より多くの水蒸気を保持できる。

 だが、デナリ国立公園の降雪量に関しては、この要因で説明できるのは増加量の一部であり、大半ではないと研究チームは指摘する。

 研究チームはもう一つの要因を発見した。アラスカ沖のベーリング海(Bering Sea)で、熱帯海域の海水温上昇によって促進されるアリューシャン低気圧(Aleutian Low)の強まりだ。

 アリューシャン低気圧は、アラスカに至る北向きの温暖湿潤な空気の流れを形成する。

 論文の共同執筆者で、ダートマス大のドミニク・ウィンスキー(Dominic Winski)氏は、「アラスカにおける現代の降雪強度が産業革命前に比べてはるかに高くなっていることが、今回の氷コア記録によって紛れもなく明らかになった」と話す。

 産業革命以降、人類は地球温暖化を促進する温室効果ガスを大気中に排出し続けている。論文ではまた、米ハワイ州の降水量の減少についても、これと同じ変化で説明できるとされた。

「このような地域単位での発見が次々と報告されている。気候変動は驚きに満ちている」とオスターバーグ氏はコメントしている。(c)AFP