【12月19日 AFP】米国のレックス・ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官は先週、朝鮮半島有事に備え、米軍がどのようなかたちで北朝鮮内に進攻するかといった危機対応策を中国と共に詰めていることを明らかにしたが、こうした対応策の協議は、中国が長きにわたってテーブルに着くことさえ拒み続けてきた性質のものだ。

 最近の北朝鮮情勢を受け、北朝鮮の後ろ盾である中国政府に対しては各国から厳しい視線が注がれているが、こうした中でのティラーソン長官による2国間協議についての発言は──もしそれが本当なら──中国の対北政策が大きく転換したことを示唆するものとなる。

 ティラーソン長官は先週、中国政府は数年にわたり朝鮮半島有事に関して協議したいとする米側の申し出を拒否し続けてきたが、かつては協議不可能とされていた議題について話し合うために、両国の軍当局者が面会したと明らかにした。

 同長官によると、協議はいくつかの難しい問題にまで及んだという。その中には、中朝国境に押し寄せるであろう避難民や米国軍の北朝鮮内への進攻、そして核兵器の確保手段およびその後の撤退についての議題も含まれていたという。

 米ワシントンに本部を置く戦略国際問題研究所(CSIS)アジア部門のボニー・グレーザー(Bonnie Glaser)上級研究員は、中国政府が長年にわたり北朝鮮の不測の事態について米側と協議することを拒んできた背景には「近い将来に不安定化することはないとの考え」があったと話す。「中国政府が恐れていたのは、協議についての情報が洩れ、北朝鮮との関係が敵意を抱くまでに悪化することだ」

 その一方で同氏は、ティラーソン長官の説明とは協議の内容が若干違っているだろうとの考えを示し、実際には米側が一方的に自身の立場を表明し、それを中国が抑えきれなかったのではとみている。「中国が自発的に米側と協議したようには思えない」

 中国外務省は、ティラーソン長官の協議に関する発言について明言を避けている。